陽炎
ミナト 螢

青が沸騰しながら揺らめく
足元の光を逆さまにして
頭から着替えるような季節は
道路の幅が良く見えなくなった
カステラの耳を残すくらい
曖昧な境目で歩いている
僕はまるで遠視になって
男と女の落としたボタンが
地面で跳ね返るのを拾えずに
幻のように動かす手のひら
熱気を逃すためにお辞儀する
遅くはないけど早くもない
ビニールハウスの街に
水を撒いたら何が育つのか
少しだけ待つ予定だったのに
両足が側溝で滑ると
愛はもう収穫されたと思った


自由詩 陽炎 Copyright ミナト 螢 2020-01-25 07:25:48
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