森の雨
いねむり猫

細い糸が 雨に洗われている

透明なしずくが 糸にしがみつき ゆれながら

森と空を映している

糸を吐いた蜘蛛は すでに別の場所へ
風に乗って
行ってしまった

水滴の中に 世界が映しこまれて 
水滴と一緒に消えて 
そしてまた新しい世界が 細い糸の上に生まれる

遠い記憶の中 冷たい雨降りの孤独が

少しだけ ほぐれる


自由詩 森の雨 Copyright いねむり猫 2020-01-24 23:39:17
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