母さん
あんたのせいで俺は産まれてしまった
だから反抗期には思いきり怒鳴ってやったんだ
うるさいよババア！って
ババアの説教なんて聞きたかないよ！って
そしたら母さんあんたはいきなり泣き出したと思ったら、言ってくれたよな
「お前なんか産まなければよかった！」って
それを聞いて浅はかにも俺は言い返してしまったんだ
「誰も産んでくれなんて頼んでないよ！あんたが何の断りもなく勝手に産んだじゃねぇかよ！お陰で俺はこの様だ！どうやって責任とるつもりだよ！」
そしたら母さんあんたは言ったんだ
「文句があるなら父さんに言いな！お前を仕込んだ父さんに！」
それを言われると俺は黙ってしまった
いつも父親が怖くて顔色ばかりを伺っていた俺には
何を言われても一言も言い返せない俺には
だから俺は母親に釘をさしたんだ
「この事は父さんにはないしょにしろよ！絶対に言うな」って

それは昭和の時代
俺は思春期の真っ只中だったな
同年代の少年少女はおそらく同じような道筋を通り抜けて大人へと階段を上る途中の