異星人
ミナト 螢

指先にフォークを握った僕を
君は優しく受け止めてくれた
酷く血を流し涙を堪えて
ダンスを踊ろうと笑い掛ける
人の手に触れて分かった温もり
こんな気持ちは青空に似ている
何かを交換したくなる衝動
僕にあげられるものなんて
この長いフォークしかないよな
君は嬉しそうに髪の毛を解かし
もう何も刺さなくても良いから
苦しくなったら呼ぶんだよ
言い残した言葉を繰り返すうちに
僕の心臓はストップウォッチで
止められないほど早くなり
君が去った後の手のひらは
まだあの熱の渦の中にいる


自由詩 異星人 Copyright ミナト 螢 2020-01-13 20:11:42
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