Spring Can Really Hang You Up The Most
ホロウ・シカエルボク


さようなら、うつくしい雨が消えていく
冬の破片があちこちできらめく街
ささやかに風の模様が刻まれた傘をたたんで
きみはアーケードの中へ姿をくらませた

九十日垂れ流されたクリスマスキャロルが口をつぐんで
ニューイヤーの装いが忙しなくさしだされる
ひとごみはやれやれと
ただそうしてきたからというだけの理由で年の瀬を執行する

おれはときどきそんな街のなかで
信じるものがあったころを思い返す
いまにして思えばそれは
残り時間が暇潰しに描いている希望のようなものだった

もう、そうさ、おれたちは
これからどんな気をつかうこともない
洗濯もののように横たわって
字幕つきの夢を見続けることだって出来る

凍てつくような週末のはじまり
コートのポケットに突っ込んだ両手は
どんなに握りしめてもあたたかくなることはなかった


自由詩 Spring Can Really Hang You Up The Most Copyright ホロウ・シカエルボク 2019-12-28 22:24:37
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