鏡に写らない顔で微笑む
こたきひろし

ネットの海でサーフィンする
ひまさえ有ればしてしまう
その間は会話が減ってしまう
反対に
話しかけられるとウザい

ねぇ
何で今スマホなの?
お話ししようよ
せっかくこうして会って二人の時間を過ごしてるんだから
と言ってる彼女も片時だって手からスマホはなさない

今日。娘は彼氏に会いに行ってる。らしい。
お互いの仕事の都合で二人はなかなか会えないでいる
父親はその交際に無関心を装ってる。
内心穏やかではない。
そりゃ。年頃の女子なんだから、男の一人や二人いてもおかしくない。あっ、二人は行き過ぎだけどね。

器の小さな父親だから、大事に大切に育ててきた娘を
何処の馬の骨か分からない男に寛容にはなれない
器の小さい男だから。

父親は色々な想像をしたり妄想をしたりする。
第一父親はまだ娘の彼氏と一度も会ってない

二人が何処かのファミレス辺りで食事するのはいい
ゆるせる
そのさいに
どちらか一方がスマホの画面に見やって、それが原因でお互いにいさかいが起こるのはいい。
だけど仲直りしてお互いの気持ちが高揚して店を出た後を想像するのはイヤだ。

男なんてオオカミなんだからさ
自分が紛れもなくそうだったからさ。

そう言えば父親はまだその事をしっかりと娘にいい聞かせてなかった。

そんな事口にしたら娘に言われるに違いないからさ。
「気持ち悪くなるよお父さん!」
想像の域なんだけど。
「そんな事知ってるよもう、私だって大人の女なんだから。だけど女って、羊のやさしさも欲しがるけれど、いつも羊じゃ嫌なの。オオカミに変身してもくれないとね。そうでしよお父さん」
なんて同意求められたら 答えが見つからなくなるだろうし。


自由詩 鏡に写らない顔で微笑む Copyright こたきひろし 2019-12-28 07:22:22
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