重力に影響を及ぼすほど空気の成分が違う星
Seia

子供が
空を飛んでいた
いや
飛んでいたというよりは
屋根から滑空していた
大きなカマキリに似た生き物を背中に乗せ

そこから記憶はなく、始まりは窓を開けていた

家庭用プリンタから出てきた
枯れ葉をつまんでは
スケッチブックへ挟んでいく
次々に出てくるかさかさとしたものを
挟むだけのページが足りない

悪寒がして振り返ると、森の入口に立っていた

電球が切れたときにだけ現れる猿は
廊下の壁に張り付いたまま
器用にソケットを回していた
交換後にせがんでくる
果物を切らすことの方が心配で

野菜室を開けると、半分のレモンだけが転がっていた

よくないことだとは思いつつも
見逃していたバラエティが
おすすめとしてアップロードされていた
視聴してみると
聞いたことのない司会者が聞いたことのない声で
進行していることに何の言及もなかった

時々映る観覧席、見覚えのあるひとりとずっと目が合う

山札からカードを引いて
手札と合わせて三枚
裏に書かれた単語を繋げて
話したエピソードが
自分の記憶に追加されてフラッシュバックする

説明書にはそう書かれていたが、単語カードが見当たらない


自由詩 重力に影響を及ぼすほど空気の成分が違う星 Copyright Seia 2019-12-23 00:21:11
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