架空の靴
阪井マチ

 恋人にもらった架空の靴で街を歩こうか。
 (逐われる度に痛むんだ心臓が)
 精神を病めば幽霊が見られなくなるんじゃないか?
 (湿地で恋を叫びながら踊る人間たち)
 かつての人は豹変する。
 (架空の靴で絵を描こうか?)
 やがて降りてきたリボンの一叢が
 (あなたを覆い隠すでしょう)
 湿地で叫ぶ活力もなく。
 (いいえあなたがいるのは砂漠)
 乾いた身体が街を歩いている。
 (あなたが買った架空の靴で)


自由詩 架空の靴 Copyright 阪井マチ 2019-12-22 01:34:06
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