迷い箸
阪井マチ

わたしの間に箸が挟まれていて、
それが素麺をつかもうと懸命に身体を動かしている夢を見た

目が覚めると私は左手の箸で素麺を摘まみ取ろうとしていて、
あるか知れない数条の麺をさがしつづけていたのだ
口を綴じられたままに昏い水桶のなかをくるくると掻き混ぜていたのだ


自由詩 迷い箸 Copyright 阪井マチ 2019-12-01 23:30:27
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