怨念をのせた北風
st

悲しくても
涙を流すこともできず

くやしくても
叫ぶこともできない

誰をうらめばよいのか
問うこともできず

寒々とした
野にさらされている


その積み上げられた姿が
言葉を持たないわが身を呪い
切々とうったえかけてくる


いずれは押し潰されて
土のなか

こんなめにあわされて
いったい
何をしたというのだろう

かつては人間の
役に立っていたのに.....と


ドロの汚れが
雨で洗われ

まるで
新品のように見える
捨てられた家財道具たち

高そうな冷蔵庫やレンジ
そして炊飯器や洗濯乾燥機.........

その怨念をのせた北風が
ブルーシートをかぶる
屋根をたたき

丹精込めたリンゴ畑は
いまだ
ドロに埋まったままで

厳しい厳しい

冬がやってきた




自由詩 怨念をのせた北風 Copyright st 2019-12-17 15:33:03
notebook Home 戻る