錆びついた奴ら
竜門勇気


間抜けとすこし話をした
どっかのドラマの中みたいに
でかいグラスに
ウィスキーを注いで渡す

金は、もうない
素直に話した
返すどころか
こっちでやってくぶんもない
マジだ
なにか考えて間抜けが出ていく
何もかも終わりだ
次に間抜けが帰ってくるときに
すべてが終わる

窓の外には砂糖が焦げたような
街燈が黄色い灯りを並べて
こんな終りが見えてた
二つ分のグラスに残るだけ
残しておいた
瓶の中身が見えないように
外套は大きなものを残しておいた
冷たい耳鳴りが部屋に満ちていて
ぼくは待つ
ここに持ち込まれる死を
空っぽの瓶の中に空っぽ以下の不吉が満ちる

錆びついた拳銃を探そう
どんな形をしてて
どんな重さか覚えてる
間抜けも同じものを持ってて
彼のは錆びついていない
毎日使ってるやつさ
ぼくはぼくのを探さなきゃ
空っぽの瓶に打ち込むために



自由詩 錆びついた奴ら Copyright 竜門勇気 2019-12-13 00:44:35
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