無題
朧月夜

ああ、それは、崩れた空の。
誰にも聞こえない、 響き。
どこにも届かない、  谺。
空に、  焼かれた者の。
 空に。焦がれた 物の。
崩れた、
   ジェンガの
        様なもの。
沈められた悲しみを
    翼にして。遠くへ。
祈りもない、  虚空へ。
 そしていつか故郷へ、と。
       もの。
   ような
 帰る
贈り物よ。天使たちは
  決して  
    永久になど、
思いは馳せな
      かったのだろ
          う。
僕はいま、その残酷さに
      気づく。
虹とは、
     光が空を、
切り裂いたものだと、 
 僕はいま、その酷薄さに、
    ようやく、
      気づく。
誰も。  失われた者など
なかったと、
  そんな風に
      言いたげに。
ああ、
   それは崩れた空の、
わたしたち
     への、
 精一杯の言い訳だ。

戯言を 言う暇にも、
    聞く合間にも、
僕たちは、ただ、
      崩れていく。

ああ、それは、崩れた空の。
誰にも聞こえない、 響き。
どこにも届かない、  谺。

無音の旋律で、
 ただ、
   慰めを求めてい る。


自由詩 無題 Copyright 朧月夜 2019-12-10 21:06:32
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