この陰鬱な空の下では
mmnkt

山が燃えている
だれにも危害を加えず
火を使わずに山は燃えている
煙だけが上がる
複数の山から同時多発的に
白い粒子を立ち昇らせる
遠くあの山では
山から発せられる煙と雲が溶け合い
標高を改竄している
目を凝らさなくては
この空から青を見出すのは難しい
この陰鬱な空の下では
すすきは揺れるが歌わない
ただ風に吹かれている
感動するのにも体力がいることを
教えてくれる空だ
休んでも休んだような気がしない
何もないのに落ち込んでしまう
そんな空だ
この陰鬱な空の下では
じっと生きることしか出来ない
かつて私を覆っていたこの空は
(未来から見たとき、それは今も覆っているのかもしれない)
どんな状況でも死ぬまでは生きられるということを
ただ伝えていた
やがて底から来るだろう
敵か味方か分からない
拒絶したくなるような煙が
火もなしに


自由詩 この陰鬱な空の下では Copyright mmnkt 2019-12-02 19:54:38
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