四車線の
道路の真ん中で丸い木が揺れ
葉を擦らせて薄い音を出す
男性同士が手をつないでいて
なんとなく初々しかった
電車では倒しそびれたシートに座り
ボックス席でもないのに向かい合う
座 ....
怒りをこめて
空が鳴っている
人のせいかは分からない
ただ無性に空が怒っている
もうずっと晴れていない
空が晴れないと
この土地は敗北したように沈む
こんな姿は見たくないと
私は部屋に ....
空に近いところで
電線の数を増やすために
電柱に取り付けられた棒状のパーツが
電柱とクロスしていて
十字架のようになっている

電柱というのは宗教家である
世界中に張り巡らされ
イン ....
使わないという理由で
祖母にもらった電気スタンドは
明るさを調節できる
調節することは滅多にないけれど
以前に使っていたものに比べ
きれいで新機能があるので嬉しかった
ほぼ毎日使っているこ ....
負けたのだった
空一面を灰色の雲に覆われ
隠された層が露わになる
敗北の土地には
敗者が住んでいる
鎮痛剤はテレビと菓子パン
笑って今日をやり過ごす
私はなんとか
どうにかして敗北の土 ....
柿が自らの重みに耐えかねて
落下するのはいつだろう
近くで見れば黒ずんできているが
遠くからなら変わりなく
まるく楽しい色を放っている
俺は葉の落ちて実だけになった
この柿の木を美しく思う ....
ぶ厚い雲が空一面に
雨を降らして居座っている
霧深く
ゾンビが車道を横切りそうな
怪しさがある

せっかく怪しいのだから
土の中から死者がもりっと出てきてほしい
ゾンビが畑を彷徨って ....
暗い空を
赤いランプを点滅させて
飛行機が飛んでいる
私はそれを地上の片隅で見ている
空をゆく機械鳥
乗客やパイロット
キャビンアテンダント
あんなところにも人がいて
呼吸をしたりして ....
最後尾の車両の
最後尾の補助席に座り
乗務員室の窓から見える景色は
猛スピードで更新される
乗務員室にいる車掌は
言わずもがな運転しないが
駅に着くたびに外に出て
小さな動作をしながら
 ....
とあるモノは
朝昼晩
毎日休みなく
働いて
社会に貢献している

モノはすごい
休みなく
役割を全うし
丈夫で
文句は言わない

日本の労働観には
モノ至上主義が
根底 ....
霜が降り
草がシャリシャリと音を立てる
冷たい朝を越えて
午後には暖かくなり
車の皮膚を膜のようにオーラのように
蜃気楼がつつむ
厚さ一センチばかりの蜃気楼は
車にかけられた魔法だ
( ....
この冷たさに敗戦を直感する
そうだ敗けたのだった
風景は「終わった後」のものとなる
昔にもこの土地はあった
ガードレールもアスファルトもない頃から
ずっと続いている進化しない夕焼けを
昔の ....
なにもしていないのに疲れている
コンビニに寄る
駐車場が広くて
小学校の校庭くらいはある
大きなトラックが停まっている
十台以上ある
一つナンバープレートを見ると
やはり遠いところから来 ....
明るい空に月が浮かんでいる
それ自体は珍しくないが
今日は月がやけに光っている
普段ははぐれた赤ん坊の雲のように
白く存在感薄く浮かんでいるのに
今日のはどっしりとまんじゅうのように
はっ ....
おにぎり、アイス、髭剃り、雑誌
主張する商品を
棚やクーラーボックスに戦略的に
導線を確保しつつ陳列すれば
商品は全て没個性的になる
並べられることでツヤ消しされる
様々な商品が一つの場所 ....
居酒屋やカラオケ屋
ラーメン屋に無料案内所
ゲームセンターもある
賑やかな商店街を
たくさんの人が歩いている
欲望の遊園地
大量のゴキブリが潜んでいそうな
そんな淀んだ眩しさがある
大 ....
やけどと化膿が同時に起こったような
波打つ赤い雲が道のようになって
遠くあの山まで伸びている
少しの風では
雲の流れを追うことは難しいが
ピントを合わせば
ゆっくりと流れているのが分かる
 ....
胸に重しする神経の蓋が
外気を変換したエチレンの炎によって
じじじと燃やされて孔を開けられる
胸に溜まっていた喜びは孔から噴き出し
(喜びが在ったことにまず驚いた)
雷のように鋭く光って私を ....
不安が高鳴って
喜びに転じる
勇敢な一歩であったと
胸は言いたげで

どこへでも
進めば風切り
風とは病みの外的要因であり
敏感質はうずくまる

マイナス電流ばかりで飽きたか
 ....
犬の目は面白い
子供のように純粋な目をしていて
されど立派な獣の目をしている
表面は澄んでいて
奥には燃えるものがある
無邪気で闘気がある
そのくせ臆病だったりする
足し算はできないが馬 ....
被弾する
嫌いな食べ物を食べさせられて
氏にしてみればお菓子のつもりだろうに
小さな悪人はそこかしこにいる
善人と同じ顔をして
弾は口から入り内臓へ
そして内臓をネズミのように掻き乱し
 ....
山が燃えている
だれにも危害を加えず
火を使わずに山は燃えている
煙だけが上がる
複数の山から同時多発的に
白い粒子を立ち昇らせる
遠くあの山では
山から発せられる煙と雲が溶け合い
標 ....
顔とすれ違う
たくさんすれ違う
すぐに忘れてしまう顔
二度と会わない顔
関係のない顔

顔とすれ違う
たくさんすれ違う
特別な顔はひとつもない
どれもただの顔
そんな顔に好きとか嫌 ....
夕焼けを朝焼けと錯覚して
午後五時を午前五時と錯覚して
頭の中がぐるぐるになった
薄青い空の山あいはオレンジで
夜明けすぐに父と車で
温泉に行ったことを思い出す

あのまま騙されていた ....
すすきが夜になっても
合唱するのは
自分たちのためだから
発見されるのを
望んでいるわけではない
風吹けば歌う
歌うのは風まかせ
「人間はいいね」
「人間はいいよ」
すすきは歌う
 ....
空白の家があった
住人は凍えながら眠り起き
生活をしていた
彼らはそこにいなかったが
いないことが
いることを確かにする
そういう類のものだった

浮浪者が
毎晩
空白の家でコー ....
なりたての夜
ローソンの看板
進めの信号

奥から
オーケストラ(四十五才)
ボーカル(二十才)
ハーモニカ(九才)

本日、県道にて
青の一座を見つける
雨水の溜まったバケツに
虫がいた
夏の暑い日だったから
乾いていたのだろう
草で突っついたり
波を立たせて
私は遊んだ

次の日
虫は死んでいた
バケツの中で
私が遊ばず
外 ....
色のついた反射ガラスは
町をリアリスティックに映していた
赤い建設機械がガラスの中では
錆びているように見えた
工事現場の入り口で
監督がパイプ椅子にだらしなく座っていた
きっと彼は強いの ....
玄関のドアを開けると雨の音がした
アスファルトは濡れていなかった
中空を見ても降っているものはない
存在しない雨を不思議がっていると
中空の先に樹木があり
葉が風に吹かれ擦れていて
この音 ....
mmnkt(70)
タイトル カテゴリ Point 日付
かわいい領域自由詩219/12/23 19:59
空が鳴っている自由詩3*19/12/22 17:55
電柱自由詩2*19/12/21 19:56
電気スタンド自由詩219/12/20 20:31
敗者自由詩1*19/12/19 19:39
自由詩419/12/18 19:29
名物自由詩2*19/12/17 19:00
夜空の飛行機自由詩319/12/16 19:37
後ろの車掌自由詩119/12/15 18:36
モノ自由詩019/12/14 19:49
不良少女のポーズ自由詩2*19/12/13 19:22
この冷たさに自由詩219/12/12 19:34
夢の共演自由詩319/12/11 19:22
明るい空に月自由詩119/12/10 19:09
コンビニ自由詩119/12/9 19:07
商店街自由詩219/12/8 19:00
雲の住人自由詩119/12/7 17:42
喜び自由詩119/12/6 19:31
不安が高鳴って自由詩119/12/5 19:50
自由詩219/12/4 19:26
自分の水たまり自由詩119/12/3 19:39
この陰鬱な空の下では自由詩319/12/2 19:54
自由詩119/12/1 18:01
美しすぎる夕焼け自由詩119/11/30 19:39
すすき自由詩319/11/29 20:12
空白の家自由詩219/11/28 19:13
青の一座自由詩119/11/27 19:33
自由詩319/11/26 19:13
ガラスの中の町自由詩319/11/25 18:04
葉が擦れて雨の音あり自由詩219/11/24 18:02

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