ガラスの中の町
mmnkt

色のついた反射ガラスは
町をリアリスティックに映していた
赤い建設機械がガラスの中では
錆びているように見えた
工事現場の入り口で
監督がパイプ椅子にだらしなく座っていた
きっと彼は強いのだろう

横断歩道では
信号が蓋の役割をしている
赤が閉栓、青が開栓
人が溜まり流れていくのを繰り返す
機械が人を管理し
その機械を人が管理する
人→機械→人→機械→人→機械→人……
という構造の中では
人と機械は等価であるらしかった

細い雨が斜めに降っているのを見て
私は風を知覚する
肌はそれより前に知っていたが
私には届いていなかった
都市は乗せる
欲望を眠りから覚まし
果てで待っているのは犯罪か
あるいは芸術か

降ろしてください
私はただの観光客です


自由詩 ガラスの中の町 Copyright mmnkt 2019-11-25 18:04:07
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