自分史(業界誌記者時代5 ー 名刺500枚)
日比津 開

記者として経験を積み、取材先が増えてく
ると名刺交換でもらった枚数が400~500
枚位になってきた。大企業だと幾つかの部
署に取材し、また部長に取材したり、課長
に取材したり、担当者に取材するので同じ
企業でも10~20枚くらいの名詞が溜まる。
キャップや先輩記者は1000枚近くの名刺を
持ち、その数を誇るところがあった。

 しかし、貴重な情報、ニュースをもらえ
るところは限られており、20~30社ほどで
そうしたところには毎週のように取材に出
掛けた。お昼頃だとランチをご馳走になり
ながら情報交換をすることも多く、夜接待
を受けることもしばしばあった。

 僕が最も親しくしてもらった企業は、ド
イツの建設機械メーカーの日本法人の社長
で、銀座や浅草のクラブ、スナックでお酒
を飲みながら業界やライバル企業の情報を
もらったり、こちらから情報を提供したり
した。社長はライバル企業に不利な記事を
書かせようとするところがあり、注意が必
要だったが僕たち記者にとっては貴重な取
材先だった。

 また財閥系の重機械メーカーの広報課長
は僕がアポイントなしで取材に行ってもい
つも快く応対してくれ、東京から名古屋の
工場見学に行ったときなどもセッティング
してくれ、わざわざ名古屋まで出張し取材
に同行してくれた。取材のあとは、名古屋
市内の料理店で一緒に飲食し歓談した。工
場見学の模様はレポートとして記事にした。




散文(批評随筆小説等) 自分史(業界誌記者時代5 ー 名刺500枚) Copyright 日比津 開 2019-11-21 03:34:15
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