群青
ミナト 螢

忘れるという草を踏みながら
掻き分けていく貧しかった頃へ

新聞配達のアルバイトで
何日目か分からないセーターを
夜空の色と比べて笑った

同じ青だからまだ大丈夫

空に抱いた憧れや恐怖を
裏返しにして着ているような
恥ずかしさですら耐えてきたでしょう

洗濯の後で乾かす間に
日向の側で光を選んでも
大きくなったら返しに行くと
胸の中で決めた約束がある

面影が揺れる水面の上を
触れたくてただ伝えたくて
時が戻るように円を描くと
あの日の僕に涙を渡した

思い切り泣いて疲れて休もう

繋がる前の心を暗示するほど
落ちてきそうな空は大きいな

その色の名前を背負った時は
支えるつもりが支えられている

僕はもう一人じゃなくなっていた


自由詩 群青 Copyright ミナト 螢 2019-11-12 06:57:41
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