冬苺の妖精
丘白月


朝日がゆっくりと
木々の枝と葉を
一つ一つ
赤く染めて昇る

朝露を浴びて
赤く透き通る光が
野原の宝石箱から
もれて広がる

冬苺の妖精が
雪のような
白い羽根を広げて
真っ赤な手袋で
飛んで行った

寒い冬の道
下を向いて歩く季節に
赤く温かい贈り物が
どこまでもずっと
あの向こうの森まで並んでいる

冬苺の白い小さな花は
月夜に赤い実の命に変わる

妖精が星を背にして
目を閉じる

魔法の言葉が
宇宙から
流れて落ちる

朝を待ちながら
今夜も
どこかの森で
赤い実が生まれてる



自由詩 冬苺の妖精 Copyright 丘白月 2019-11-07 08:01:06
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