いつでも ぼく 店に出ていますから
もっぷ

――隣のベッドの人が「移った」

あの部屋に あの ・・・



そうして二度とは戻っては来なかった笑顔

無理して作っていたあの懐っこさ

苦しい 痛い 怖い に耐えて

無理して 合わせていた 大部屋の

雰囲気に なるべく なるべく

あの人にも この人にも 笑顔を ・・・と



わたし 知ってしまったんです

わたし 聴いてしまったんです

わたし 見てはいないけれど

わたし よくわかっています



――隣のベッドの人が「移った」

あの部屋に あの ・・・



そうして二度とは聴けなくなったあの弱々しい声

無理して話題に合わせていたあの懐っこさ

苦しい 痛い 怖い に耐えて

無理して 無理して 無理して 無理して 大部屋の

雰囲気に なるべく なるべく

あの人にも この人にも 心配は自分のことだけで ・・・って



頑張ってくださいね お互い頑張りましょうね

きっといつか来てくださいよ 神保町で珈琲店やっててね

もちろん奢りですよ ほかでもないあなたたち

いつでも いつでも ぼく 店に出ていますから

忘れようったって忘れられませんよ



こんなに こんなに 毎日一緒 だったんだからね ・・・




自由詩 いつでも ぼく 店に出ていますから Copyright もっぷ 2019-11-06 23:27:50
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