頬杖
ミナト 螢

柔軟剤が甘く香る場所を
避けるようにして葉が落ちてゆく

横顔でしか言えなかったことは
きっと誰にも伝わらないだろう

制服の黒に埋もれるトンネル
シャープペンシルの芯が折れると
繋げなくなった線路の上には
何を乗せたらうまく走れるの

配られたプリントは白紙のまま
提出するのは名前だけだった

沈む気持ちを呼んでるチャイムと
前から飛んでくる黄色いチョーク
これが車なら脇見運転だ

頬を染めるチークの粉みたいに
信号の合図が丸くなっても
進めずにいる未来と一緒に
落ち葉で隠せる顔を洗いたいな


自由詩 頬杖 Copyright ミナト 螢 2019-10-24 06:38:07
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