富山からの
産直クール便
白い箱いっぱいに
紅ズワイガニが二杯

ハサミをおとなしく組み
脚をきれいに畳んで
小さな目はうつろ
見事ね　ほめて
夕方には食卓へ

甲羅から味噌を
脚からつるりと身を
美味しさに手が止まらない
あっという間に
一杯はなくなり
殻だけが証拠に残る

残りの一杯が後ずさりしても
しっかり冷蔵庫へ
これは明日いただきます

残されたカニはつぶやく
まっくら闇　何も見えない　最期の夜