プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」より
日比津 開

いまから僕が歌う 
数分間のテノールのアリアで
必ずあなたを振り向かせる
そして、ソプラノの返し歌
あなたからのアリアをもらう

さっき出会ったばかり
それなのに僕はもうあなたに
心を奪われ、夢中になっている

あなたは僕にとって詩そのもの
だから、あなたの瞳、唇、髪
すべてが詩のテーマとなり、
あなたに贈る歌、言葉を
次々と紡ぎ出せる

ちょうど、歌劇「ラ・ボエーム」
第1幕の詩人ロドルフォと
お針子ミミのアリアの応酬
それに続くデュエットのように
あなたと僕の出会い、恋愛は
ドラマチックに展開する予感がある

しかし、あなたと僕は
ミミとロドルフォではない 
この後に続く悲劇は絶対に踏襲しない
なぜなら、あなたはまだ若く美しく
病魔の影など少しもない
そして、僕の書く詩は
ロドルフォと違い
絵空事ばかり語るのではない
 
悲劇を避けるために
いやきっと幸せになるための
違うあらすじを僕は用意しよう
けれども、それを不朽の名作に
できるかどうかは
僕だけではない
あなたと僕の2人で決める
 
いまから歌う
あなたと僕のアリア、デュエットは
いつまでも歌われ続ける
永遠に色褪せない
幸せに満ちた旋律にしたい


自由詩 プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」より Copyright 日比津 開 2019-10-18 05:26:44
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