きょう二十歳になるおまえと
日比津 開

きょう、おまえは二十歳になる
もし、生きていてくれたら…

特別の思し召しで
神様がいまのおまえを1日だけ
天国から地上に降ろし
会うことができたら
父はおまえと何をしよう?

まず、美しく着飾った
おまえをエスコートし
華やかなオーケストラやオペラ
バレエの公演に出掛けたい

それから、おまえが大好きだった
イチゴの美味しいケーキがある店を
探してふたりでお茶したい

もし恋人ができていたら
紹介してもらい
彼と3人で時間の許す限り
あれこれ話がしてみたい

そんなことができたら、どんなに
楽しく、嬉しいことか?
 
けれども、この父が
一番幸せを感じるのはー

まだおまえが元気だった二歳の頃
鬼ごっこして駆けずり回った
家の近くの公園を散策し
ユリカモメたちと遊んだ
運河の畔を訪れる

ーことにあるのかも知れない

これが叶ったら、
父の幸せはこの上ないものとなる

挨拶に集まった
たくさんのユリカモメたちに
成長したおまえは
どんな表情をし、
何を話し掛けるのか?
それを見届けたら
おまえを天国の神様の元へと
帰すことにする

きょうだけ
ほんの一時だけで良い
このように父は
おまえに会いたい


自由詩 きょう二十歳になるおまえと Copyright 日比津 開 2019-10-17 04:43:03
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