冬と春
木立 悟





自転車をこぐと水車の音がする流れを馳せる冬と春の背



午後の陽の光と音のお手玉が言葉に変わる冬と春の手



こぼれゆく言葉は道にかがやいて見つめつづける冬と春の目



午後の背を去りゆく真昼の歌もある行方に満ちる冬と春の日



ひとときの滴とかけら散り咲いて金の手の春銀の手の冬



春からも冬からも火は現われて道を流れる言葉ゆらして



窓あかり灯されるたび遠去かる枝に重なる冬と春の手



むすぶ手がいつかはばたく日が来ても冬と春は歌いつづける



雲駆ける冬の姿を知る春に光と音のお手玉は降る










短歌 冬と春 Copyright 木立 悟 2005-04-05 00:13:46
notebook Home 戻る