私だってその若さを
こたきひろし

私だってその若さを羨ましがられた
時代がちゃんとありました

今でこそ
冴えないお爺ちゃんですが
二十歳頃は
冴えないお兄ちゃんだったんです

残念ながら
冴えないだけは共通してたんです

冴えない男なのに
その立場をわきまえずに
やはり普通に
冴えてるおんなのこを
好きになってしまうのは
ヒトとしてどうなのかは
わからないけど
男としては
至極当然なんでしょ

自分が冴えない分
冴えてるおんなのこと
街を歩きたいものね

それは
冴えないおんなのこが
冴えてる男を好きになるのと
一緒だよね

だって冴えない同士が
一緒に歩いたら
お互い惨めで
ますます
冴えなく
なると思うよ

そこには
限りなく現実に妥協してでも
異性を求める
人間の性があるんだからさ

だけど
歳をかさねていくにつれて
誰しも人生の荒波に揉まれて
余分をそぎおとされたり
洗われたり
打ち鍛えられたりすると

磨かれて
変わっていくものさ

何がどんな風に
変わるかは
その人しだいでも

段段に三途の川が近づいてくれば
自ずと




自由詩 私だってその若さを Copyright こたきひろし 2019-10-12 09:48:15
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