靴が旅立った日
帆場蔵人
軒先に脱いだ靴が消えた
会社にばかり通ってる靴だから
会社に向かったのかもしれない
いや、しかし、通勤電車に嫌気が
さして旅に出たのかもしれない
文なしの旅先で困ってやしないか
いやいや、或いは僕みたいに
仕事ばかりでない、誰かを
見つけて軽やかに弾んで
いるのかもしれない
そうして僕はと言えば素足で
庭土に触れて冷たいとか暖かいとか
こりゃ、痛いとか眼をおっぴろげて
空をみれば驚き焦った木々の葉が
その顔色を変えていく、赤く赤く
おやおや、素足も悪くない
自由詩
靴が旅立った日
Copyright
帆場蔵人
2019-10-01 23:46:09
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