初恋草の妖精
丘白月


秋の雨はゆっくりと
空を滑って降りてくる
気付かないうちに
あなたの名前
一瞬ですべて記憶する
秋の夜はスポンジケーキ
初恋のようにやわらかく
眠れない涙で溶けてしまいそう
小さなポットの初恋草
明日は庭に植え替える
陽を浴びて水をあげて
育てて伸びるのは思いの枝
妖精の息が弦のように
夜明けまで抱いてくれた
スポンジケーキのように



自由詩 初恋草の妖精 Copyright 丘白月 2019-09-08 08:43:56
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