妖精の朗読会
丘白月


レンガを敷き詰めたような
懐かしい色をした黄昏の海
赤く熟した太陽は海に落ち
静かな波打ち際にハマナス
火星のように赤く瞬き一つ
星が夜空に用意され
朗読会がはじまる
星の数だけ頁がめくられ
出会いと別れの間に現れる
恋と愛が繰り返し語られ
妖精は塩辛い涙を海に沈め
魚は星の卵の泡に変える
朗読会が終わる頃
水面で割れて夜空に帰る
朗読の言葉は星になり
明日の夜に誰かが見つけて
心の奥にそっとしまうだろう



自由詩 妖精の朗読会 Copyright 丘白月 2019-09-04 05:21:48
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