過去を知らず未来を思わず
丘白月
小枝から千切れた葉を
風が小川に運ぶ
妖精が降りてきて
流れる金色の葉で昼寝
キキョウもリンドウも
カエルもアメンボウも
メダカもカジカも
二度とない秋の昼休みを
空の下で味わって
過去を知らず未来を思わず
一日を気取らずに魂が
人よりも確かに流れている
秋に生まれ秋に死んでいく
季節を一つしか知らない者たちよ
ああ今だけを生きる幸せを知る者たちよ
過去を知らず未来を思わぬ幸福者よ
自由詩
過去を知らず未来を思わず
Copyright
丘白月
2019-08-25 08:35:22