題詠マラソン2005 001-010
汐見ハル

001:声

なかゆびで喉の尖りをころがして昨日の声の輪郭は何処


002:色

風色の蝶つかまえてくれるなら、と少女の瞳にじむ雨音


003:つぼみ

春孕む丸いつぼみを恨まぬよう複数の枝で空を裂こう


004:淡

わたしたち淡い季節を育てては猫になってねむるキスさえせずに


005:サラダ

女神が言う「サラダせんべいいかがです?」そして涙をあたためました


006:時

<すべて時が解決する>ということがほんとだからさびしいのです


007:発見

右手の甲 薬指の付け根から発見せしは石榴産む傷


008:鞄

ハンカチもティッシュも夢も詰め忘れ駆け込む鞄の折り目正しさ


009:眠

眠らない猫になる頬擦り付けて「いつかやさしいひとに出会いな」


010:線路

夜を走る線路の黒い艶、苦味。いつしか車窓の光跡しろく




短歌 題詠マラソン2005 001-010 Copyright 汐見ハル 2005-04-03 03:10:52
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