サルスベリの妖精
丘白月



夏の妖精は低く咲く
白いサルスベリのような
日傘の下で見えるように
声を殺した涙のまま
たたずんで見て欲しい

ミツバチに運ばせる
金色の花粉は言葉の卵
ベンチ背もたれに隠れ
置き去りの声を
花の便箋に入れる

夏の妖精は高く飛ぶ
遠くまで行くから
花びらを編んだ便箋

冷めた言葉と熱い気持ちが
赤いサルスベリのように
ただあなたを信じますと

拾い集めた公園の足音
見下ろす日傘は昨日と同じ
待っているの
待っていてちょうだい


自由詩 サルスベリの妖精 Copyright 丘白月 2019-08-01 22:02:00
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