種が先か花が先か
丘白月



誰か呼んでる

私を呼んでいる

葉の音

羽の音

風の踊り場のような森


光をためる小川

柔らかな太陽

優しい月のような太陽


津波のように

歌が囲む

私はカゴメの虜

眠り姫がうしろの正面だあれ

そう言いかけた時

目を閉じた


夢から覚めた時

草の隙間から見える月が

魂のように

心の宇宙船のように

木漏れ日に消えていった


記憶の片隅に残る妖精の言葉ひとつ

種が先か花が先かって?

この世界に最初に現れたのは

どちらでもないよ

香りだよ


魂の香りは花のようだよと

妖精は教えてくれた



自由詩 種が先か花が先か Copyright 丘白月 2019-07-28 18:23:52
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