さよなら、ジューン アニマルズ
DFW


崖地から火葬場を見おろす2階建てアパートに生息した 夕焼けのもらい火が6月の風を駆り立てて死んだ
そんな風の噂

あくまでそんな 何処にも届かない声を追い立てた喉を 震わせて
6月から身を隠して
きみと無関係にきみのために燃え尽きた祈りが
ささくれた指をささやかな嘘にかさねて 火花を散らして壁際の塵になった抱擁が

6月の獲物たちが黒南風に吹かれて路地の影を駆け抜ける


窓から/睡蓮に焦がれたアルミの灰皿にはもう重さはない 

吸殻の煙が低くたれこめてこぼすカラスの眼差しに ささくれた指先を性懲りもなく湿らせて
かたい拳を水気のなかで開かせようとする

丘陵に群生する墓石が かすかな光芒を吸いつくすあいだ
さよならときみが雨のように何度もささやいた

さよならと雨のように
何度も

もうすぐ青い花が一面に咲き乱れる
そんな風の噂



自由詩 さよなら、ジューン アニマルズ Copyright DFW  2019-07-20 20:45:37
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