フーリガン
DFW


アスファルトに落ちている犬のフンを蹴とばして 追いかけて
夏の薄暗がりに溶けてしみる厚化粧


わたしがわたしのものならさいしょから わたしはわたしのことなど考えはじめてない のかな

肌にまとわりつく暑さのなかの
アルコールの匂いと
明るいかたまりでうまれた
大勢の笑い声が
それはそれできれいに響き渡ってしまって

いつかきみがわたしのものになったなら わたしはきみのことなど考えなくなる のかな
わたしたちの生活というものがほんとうはなくても


アスファルトに落ちているすべてがわたしのものに思える夜に 犬のフンを蹴とばして

跳ねる髪が風をはらむのを
イメージして
夏の薄暗がりに溶けてしみる厚化粧


いつのまにかこなごなになってみえなくなった犬のフンみたいに
あとかたもなく



自由詩 フーリガン Copyright DFW  2019-07-20 20:42:22
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