きまぐれな最高神が

たわむれで創った


地上世界の

はじまりは


立体的な

まるでクールベが描いた

静止画のようだった


天空の神々はみな

その見事さに驚嘆したが


時をあやつる女神だけが

最高神に


ながめていて

とてもうつくしいけど

なぜ時を与えないのですか


と問うと　


天上のものならば

時を与えるが


それは天上では


花は枯れず

神は死ぬことはなく

建物は朽ちることがない.......


あらゆるものが

永遠の命を持っているからだ


地上の世界に

時を与えたら


花は枯れ

人は死に

建物は朽ちはてる......


あらゆるものが

消え去ってゆく


それでは鑑賞するのに

都合が悪い


と答える


時をあやつる女神が


最高神よ


花は枯れるからこそ

うつくしいのです


人は死ぬからこそ

一所懸命生きようとして

輝くのです


建物は朽ちはてるからこそ

堅牢に造ろうとするのです....


あらゆるものが

消え去ってゆくからこそ

素晴らしいのです


と最高神を諭すと


なるほど

おまえの好きにするがよい


と最高神は


女神が地上の世界に

時を与えることを許した


かくして地上の世界は


時とともに


生き生きと動き始めた