雨宿り
丘白月


雨宿りの二人
息は白いけど
寒くなかった

定休日の喫茶店
赤いテントの下で
空を見るあなたの横で
私は横顔を見つめる

このまま
雨が止まなければ
いいと願った

沈みかけた太陽の
雨で滲んだ光が
雲で隠されて

墨絵の世界で
言葉を探す二人
色を探して
あなたの手に触れてみる

気づかないほどに
あなたは
雨が跳ねたと思ったかしら

雨が止んで
歩く二人
空気がまだ濡れていた

頬を触る風が
私を追い越して
振り返る

二人きりだと思ったけれど
一人だった
足音についてくるのは
一つの心だった

風が水たまりに
波を打った
さよならと


自由詩 雨宿り Copyright 丘白月 2019-07-02 19:47:31
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