バス停 「第2話」
丘白月

詩的小説 バス停 第二話


目覚めて窓をあける
高台にあるアパートは
見晴らしが良く
遠く小学校の向こうに
海が静かに朝日を集めていた

顔を洗ってパンを焼き
コーヒーを淹れる

隣の部屋で目覚まし時計が鳴る
慌てて止めて時計を抱いたまま
ベッドに倒れこんで笑う

まだそんな時間なのね
目覚まし時計より早く起きるなんて
久しぶりのこと

学生の頃みたいな
燃える気持ちは無いけれど
ささやかな喜びを見つけていた

智子は手帳をひらいた
あの人の時刻を見つめた

終わった恋だとわかっていも
今は逢えるだけで嬉しくて
新しい仕事も頑張れる気がした



自由詩 バス停 「第2話」 Copyright 丘白月 2019-06-30 19:45:55
notebook Home 戻る