バス停 「第2話」
丘白月
詩的小説 バス停 第二話
目覚めて窓をあける
高台にあるアパートは
見晴らしが良く
遠く小学校の向こうに
海が静かに朝日を集めていた
顔を洗ってパンを焼き
コーヒーを淹れる
隣の部屋で目覚まし時計が鳴る
慌てて止めて時計を抱いたまま
ベッドに倒れこんで笑う
まだそんな時間なのね
目覚まし時計より早く起きるなんて
久しぶりのこと
学生の頃みたいな
燃える気持ちは無いけれど
ささやかな喜びを見つけていた
智子は手帳をひらいた
あの人の時刻を見つめた
終わった恋だとわかっていも
今は逢えるだけで嬉しくて
新しい仕事も頑張れる気がした