私というものを感じて
あおいみつる

長閑な昼下がりに私は私を感じている
私という心 いや、魂のからくり
そして色 何層にも重なった記憶
またDNAにより受け継がれた連鎖のストーリー
それらを断ち切ることのできない無力さ
なるべくしてこのように導かれ
逆らうこともできず 偶然でもなく必然で
また外側のテントのような私の幕屋は
蔦のように絡まる細胞
食道を通し栄養を補給し消化器で分解吸収し
骨と肉が輪郭を形づくっている
私という個体
それに心 魂が住みついている
もしも心がなければ生物学的には
動物というより植物のようにも思える
そんな個体がこの街で今日も呼吸を繰り返し
心臓の鼓動に助けられ
意思と感情と義務と信仰
身についてしまった行動形式により暮らしている
そんな現実でもあり非現実的な世界
そこでの人格的な交わりと肉体的な交わり
なんともシュールな人の営みの過程であろうか
犬の遠吠えが聞こえてくる長閑な昼下がり
遠ざかりそうになる意識の中で私は私を感じ
また世の人々を感じている



自由詩 私というものを感じて Copyright あおいみつる 2019-05-24 16:16:48
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