キメラの隣人
竜門勇気


にこやかに交わし合う
流通する愛撫
性欲の使い方が
誰とも分け合えない

薄墨色の手紙
何度か届いていた
僕がそれを忘れる
その仕草を共有しよう

誰がだれでもどうでもいい
空を見ながら鼻を鳴らす
きみは僕とだれかの合いの子
キメラの隣人

爪は黒く
牙は翡翠
亀の甲に乗り
踝がさかさに反ってる
あんまりにも
優しい逆上
キメラの隣人
キメラの隣人

休日の過ごし方を知っている
そうでない日のやり方も分かっている
窓ハルカの描く線の美しさもわかっている
誰がどうでもだれでもいい
不順は純粋
不純は散逸
美しいものがなにかわかってれば
もうそれ以上はどうでもいい

美しいキメラ
ああ悲しいキメラ
合いの子と合いの子の
出来損ない

打っても打っても鳴らない
かさついた鱗を逆立てて
合いの子と合いの子の
出来損ない

そんなぶっ壊れと同衾したら
何もかもがわかるだろう
美しさがわかれば
あとはどうでもいい
美しいと叫んであたふたとしているんだ
どうでもいいどうでもいい
美しさにあたふたできればそれでいい



自由詩 キメラの隣人 Copyright 竜門勇気 2019-05-14 02:38:52
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