えいえんの海鳴り
秋葉竹
からめあった足の白さが
波打ちぎわまで押し寄せてきた
夜半にくるくる回る満月
血に濡れた髪を真銀に染める
あなたの友人は
みな海底から這い上がり
石榴の頭であなたにすがりつく
汚れたかなしみを
詰め込んだ万華鏡を拾って月を呼ぶ
月は哭く
日曜の昼下がり
沖行く遊覧船があり
暑い異国の地で
恐れもせずに紙ヒコーキで空を飛ぶ
勇敢な馬鹿乙女がいるときく
翼あるものの末裔のくせに
重力に負けて飛べないくせに
乙女は戦う
濡れた砂浜に横になって
隠された慕情で砂の城を作る
すぐに波に崩される
えいえんの海鳴りのやさしさ
ひそむ情熱の赤たる黄昏の海面
人魚は泡に
人は砂に
すぐに闇夜に取って代わられる
えいえんの海鳴りのさみしさ