得体の知れない化け物
TAT
ある日
詩を書こうとして
携帯を開き
現フォにログインしてみたが
どうにも書けない
日々の事
時代の事
思い出の事
セックスの話や
政治的な扇動
なんでも書きゃいいと思うが
ハタと書けない
ミックの心臓手術や
ホルモン2号店
令和
イチロー
バンクシー
なんでも書きゃいいのに
なにも書く気がしない
悪魔みたいな
この世の終わりみたいな
禍々しい
大きな獣が
象みたいなやつ
マンモスみたいなやつ
サラマンダーみたいな邪悪の塊
要塞みたいな絶望が
ペンを持つ俺をあざ笑うかのように
空から降りてきて
今俺の目の前で
水をがぶがぶと呑んでいる
俺は必死こいてそれを書こうとするが
離れても離れても
そいつの適正な大きさが分からない
昔の人もこうして
恐れや
憎しみや
悲しみを
発明したんだと思う
自由詩
得体の知れない化け物
Copyright
TAT
2019-05-04 02:44:21