記憶の奥に(改訂)
ひだかたけし

砂漠に住んでいる
高曇りの砂漠に
暑くもなく寒くもなく
居心地のいい処だ
余計なお喋りもなく
余計な関わりもなく
足元は絶えず崩れながら
孤独に寛ぎ待つことができる

俺はいったい何を待つ?

などと考えるまでもなく
近付いて来るそれを
巨きな漆黒の影伸ばすそれを
気配のなかで眼を瞑り
耳を傾けていればそれで良い

)沢の源頭に突然開ける原初の光景の如く
)自らの時間を巻き戻し遡行した挙げ句
)記憶の奥にのっそりと姿現すもの

近付いてくるものを
迫って来るものを
臨む日へ望まれた日へ
愉快に覚悟を決めていく

絶えず足元の崩れゆく
此処砂漠という孤独の場の
孤立にならないよう
バランスをしっかりキープする
そのことだけに専心しながら




自由詩 記憶の奥に(改訂) Copyright ひだかたけし 2019-04-28 21:52:21
notebook Home 戻る  過去 未来