夜 羽織る夜
木立 悟
雨のなかの白を追い
ふたつの午後が終わってしまう
雨の後も白はひろがり
宙に音を描きつづけている
鳥が一羽
白をついばみ
描かれた音に
音をこぼす
金と緑の波が
海のかたすみを巡っている
夜の岸を照らし
泣くもののかたちをなぞる
径が崖に着き光になり
こぼれ落ち 手を振り
水にも岩にも微笑んで
咲いては散り 咲いては散る
砕け 降りつもる
静かに繰りかえす
自でもあり他でもあり
にじみ かがやくもの
水の光も 光の水も
空にあふれ あふれあふれて
夜のなかの夜の辺
わずかなまだらをうたいつづける