つぎの朝の紙くず
DFW


お金を使いはたして 黄金がわたしより大切に扱われていくあたりまえさにみとれていた
マーケットの片隅で

多すぎるか少なすぎるかしかない
という

取り分を
数えきるまでに使いはたして


渡し人の町から 塩商人たちの瞳に溢れる夕立をつかまえたくて

風が打ち砕いたのは 雲と涙  それに )

何世紀もまえからすぐそこを流れている青白い仮想通貨に遠く薄れていく意識

指先を青くさせたかれらは時間と永遠を誤認する


つぎの朝の紙くずのなかでわすれそうになるいくつかの手形に触れて 繋ぎとめた重力を
握りなおしてみてもなお

この世界を嘆き愛し尽くそうとおもえたなら
ありふれた女の一生でもきっと
ことたりる



自由詩 つぎの朝の紙くず Copyright DFW  2019-04-20 23:16:57
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