声と鉛
木立 悟






闇さえわたし
照らすことのない
光さえわたし


鉄柵の奥の
まぶしい水
冷たくひらく
ふたつの香り


二重の曇
二重の径
まがいものの絵筆の空を
白と黒が染めてゆく


鳥が枯木を描き
枯木が鳥を喰う
曇をなぞる光
首元に降りて来る


灯りのなかに消える灯り
闇を置いて去る灯り
砂に波に花は無く
空の花が映るばかり


声と鉛
片目の重さ
遅い贈りもの
手から手へ仄かに


こがねの夜が指すところ
終わらぬ痛みの舞うところ
わたしと歩むものはない
光が音が つづきつづきゆく


























自由詩 声と鉛 Copyright 木立 悟 2019-04-08 19:42:32
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