凹凸のシルエット
ふじりゅう

崩れかけの看板も
煤け切った駅も 皆罪深きもの
何とも形容し難いそれぞれが しかしながら
一つの輪郭を描き 走馬灯の如く流れ消える 車中
僕は消えてゆく

温かな望みを咥え 1本のタバコ
流れゆく煙を見ていた
凹凸に並ぶシルエット 無数の脳みそが
律儀に動いている
高速バスの閑話休題にて 風が 喧しくて寒い

煌びやかな瞬きの外で
不安が脈打って 力を込めた
イヤホンから流れるのはアコギの切ないメロディ
想像していたより 想像していたより

だが 新たに同じ穴のムジナを探してるんだ
再びさあさあと雨が降りかかり景色は一層深深と埋もれる
これが、今は最後であるのに
目を閉じればすぐに黄金の都会が神経をひりつかせるだろうけど
もう少しだけ我慢してその境目で心染み込ませたい
僕は大好きなこの街を離れていく 何故なんだろうか
ありもしない故郷の公園のじゃりっぽい
砂臭い葉っぱの 臭いが そこや あそこ
隣に転がってるんだと思って
目を覚ますと
窓の外の黄金郷に 体痺れてゆく


自由詩 凹凸のシルエット Copyright ふじりゅう 2019-03-31 02:51:52
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