春乱漫
長崎螢太

弛緩する、心臓
春の
そよ風に身を任せ 、立ち泳ぐ
辺りには、蠢動が満ちていて
指先から
徐々に、芽吹いていく

あらゆる感情を司る
脳内シナプスが
緩やかに伸び、繋がり
未来を
思い描いては、また、消して
再構築を繰り返している

それが、いいことなのか
悪いことなのか
判断することさえおぼつかないまま
いっそ、
この穏やかな倦怠に
すっ、と身を任せて
永遠の眠りにつきたい、と思うのです

覚醒を得ろうとし、光に向けた眼球が
胞子で
緑色に侵されていく
弛緩した身体が見つけられる頃には
きっともう
全身が芽吹いている、ことでしょう


自由詩 春乱漫 Copyright 長崎螢太 2019-03-24 13:11:27
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