天変も大地の異変もなくて 続編
こたきひろし

翌日。
妻は薬局で妊娠検査薬を買ってきて試した。
陽性だったと妻はそれを俺に見せた。
俺たち夫婦は子供を授かった。勿論その事実を確かめる為に俺は会社から休みを貰い妻を産婦人科に連れて行った。
結果は、医者と看護婦からの「妊娠おめでとうございます」だった。
俺はもはや何一つ迷う余地を失った。
その先俺がすべき事は死にもの狂いで働いて金を稼ぎ、母鳥とひよこの口にせっせせっせと養分を運ぶ以外しかなかった。
それが父鳥の与えられた使命なのだから。

たとえ天変と地面に異変が起きても男が強く強く
愛する者たちを自分の生命と引き換えにしても守らなくてはならないのだから
俺は俺なりに決意したのだった。


それは二十九年前の決意だった。
長女が不登校から復活し社会で蘇り、職場の先頭に立つ存在になるまでの物語は
これから少しずつ少しずつ思いだしていきたい。


自由詩 天変も大地の異変もなくて 続編 Copyright こたきひろし 2019-03-10 08:53:08
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