ルラ

静止した 夕ずつを
灰の妖雲が 覆う
静寂が 孤独な
姉妹のように ひろがる

暗い空の 水脈から
垂直に 降る雪は
地に落ち 鬼火になり
辺り一帯 埋め尽くした

人は こんなにも
利用され 売られ
別離すら 余儀なくされ
孤独でなくては ならないのか

群生する 霊的な火を
口遊みながら 歩く
草原をゆく 俺には
荷物など 端からない

虫螻のように 舞う
奇妙な 天使たち
遠くからは 喨喨と
割れ響く 終焉の曲

死は無を 複雑な
鋭利な概念から 名状し
胸奥を穿つ 錐へと
無情に 変貌させた

螺旋する 刃は
詩の子宮を 貫き
水銀の 羊水が
肺胞へと 流れた

膨れた 肺胞は
ちぎれ 落ちた
綺麗な 燐の
雪の様に 虚しく


自由詩Copyright ルラ 2019-02-24 20:33:46
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