光のひと
立見春香

私の光だった
あなたは空をみつめて泣いていた

世界はひとつだけ私に意地悪をして
彼女の記憶のいくつかを
ブラックジーンズのシミといっしょに
手洗いで消し去ってしまった

私は痛い寒さを堪えて
ただ微笑みを
あなたき向けることしかできなかった

嘘をつきたいわけではない
真実を暴きたいわけでもない

私の光だった
空をみつめて泣いているあなたがいて
私はそれを微笑んでみつめていた

ただ微笑みだけが残っていて
その微笑みが凍りつくのを
遠い空から見下ろしているのも私

私はいつまでも漂っているしかなかった

光のひとのあたまの上を
ひらひらと
あいをこめて
ひらひらと

いつまでも



自由詩 光のひと Copyright 立見春香 2019-02-24 12:34:14
notebook Home 戻る